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2017.01.21

MERU[メルー]

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 こんな場所へは、絶対に行き着けないなと思った。人類70億分の数名しか辿り着いたことのないであろう場所、インド・ガルワールヒマラヤに聳える、シャークスフィンと呼ばれる垂直の岩壁、メルー中央峰の頂点。この長大な岩壁を直上するダイレクトライン初登に挑戦したクライマーによる、ドキュメント映画である。凄い、映像だった。こんな映像を撮ってきてくれて、ありがとう!と思った。

 クライマーのコンラッドは、同様に希有なクライマーであるジミー、レナンと三人でチームを組み、難攻不落の岩壁と言われるメルー峰登頂に挑む。実はコンラッドは、以前にも登頂を試みていたが敗退しており、満を持しての再挑戦だった。しかし、天候にも恵まれず、あと100mというところで無念の敗退をする。どうしても登れない、まさに大きな壁。下山した三人はそれぞれ、「なぜ挑戦するのか」を考える。中でもレナンは、山での仕事中に大怪我を負う。それでも登るのか。・・・

 そして、3人のチームとしての2度目の挑戦が始まった。

 登りたいという気持ちの葛藤や、立ちはだかる過酷な状況、全てが本物で、胸が熱くなった。公式HPに載っていたクライマー山野井さんのコメントには、「あれほど美しく魅力的な岩壁はなかなか見当たらないだろう。そこを良き仲間と共に登れるなんて、どれほど幸せなことなのだろうか。」とある。そう、クライマーにはクライマーの、私のようなへなちょこ山ヤにはまたそれなりの、思い入れや感慨があって、この映像に釘付けになることだろう。

 満天の星空を背景に、3人のヘッテンが闇の大岩壁に小さく輝く、カメラを引いたシーンはあまりにも美しい。少しだけ、自分も壁に挑戦している気分になって、焦燥とスリルと興奮を共有して、山ヤの気分になって帰途についた。

 映画館からの帰りの電車の中で、『その峰の彼方』(笹本稜平 文春文庫)という本を読了した。デナリ(マッキンリー)の、カシンリッジ厳冬期単独登攀に挑戦する男の、こちらは架空の山岳小説だ。精神的な話題に傾いたり、遭難救助の場面が長かったりするけれど、へなちょこ山ヤとしては、こちらも胸の熱くさせられるシーンがあったりした。
 「見たらいい。この美しい世界を。言葉で愛でる必要はない。ただ心を開いて受け入れるだけでいい。
 こんな言葉を聞けたら、それは山ヤとして本望かもしれないと思った。

Sonomine

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