« さようなら、大関。 | トップページ | 星の王子さま。 »

2005.06.01

もう一つの「答え」。

 先日、ミヒャエル・エンデが書いた「インディアンの魂」に関する文章を紹介したら、ロビンさんが、とっても気に入ってくれたようだった。
 実は、この話には続きが、ある。案外、有名な文章なので、丁寧にWeb上で探せば、全文を載せてるサイトも見つかるよ。自分ももちろん、学校の授業で生徒に紹介したこともあるし、以前から全文知っているんだけど、全てコピーしちゃうのは、著作権的にどうなのかなって気がするので、続きも要約で紹介しよう。

 もう一つの「答え」もまた、文化人類学者の友人が、インディアン女性の口から聞いた言葉でした。
 友人が旅先で出かけた山の頂上にインディアンの村があった。その地方一帯には、山の麓一カ所にしか井戸がなく、村の女たちは毎日、半時間の坂道を下り、帰りは重い水瓶を肩にして1時間、山を登っていた。友人は、女たちの一人に尋ねた。「いっそ村ごと、麓の水源近くに移した方が賢明ではないかね。」女の答えはこうだった。
 「賢明、かもしれませんね。でも、そうしたら私たちは、快適さという誘惑に負けることになると思います。」

 ところで、そんなほのぼのとした(?)インディアンネタで僕らが盛り上がっている時に、時々拝見させてもらっている「極東ブログ」さんでも、「伝統社会的な人間は現代社会において心を病むものではないのか」という話題を取り上げていた。そこでは、ロイター発の記事から、「ネイティブ・アメリカンは、トラウマや健康にとって危険な後遺症を示すリスクの高い逆境のなかで生活している」という調査結果を紹介していた。なんだかちょっと、興味深い。はたして、魂が追いつかないのは、「伝統社会的な人間」の方なのか・・・。俺はなんだか、尺度の問題、のような気もしてきたよ。価値基準、というかね。・・・。
 話が難しくなってきちゃったので、逃げちゃおっと。
 ただ、こんなことを考えたのは、先日30日に、「もんじゅ」訴訟の最高裁判決が出て、「国の設置許可は違法ではない」という、住民側の逆転敗訴が言い渡されたからなんだよねぇ。こんなことだから、いつまでたっても魂は追いつかないし、僕らは、快適さという誘惑に負けることになるんだよ・・・。

 以下、17年前のエンデの予言(?)。

 ・・・快適であることが、なぜ誘惑と呼ばれるのか? 私たちが手にした洗濯機、自動車、エレベーター、飛行機、電話、・・・ロボット、コンピューター、要するにおよそ現代社会を構成するすべてのものは、快適な生活のためにつくられたはずです。それとも?
 これらのモノは、暮らしを楽にします。骨の折れる仕事から私たちを解放し、もっと本質的なことのために時間を恵んでくれる。そうではなかったのでしょうか、私たちを解放するんでしょう?
 そうです、確かに。──。ただ、何から解放するのでしょう? ひょっとして、まさに本質的なことから? だとしたら、いったいどうなっているんでしょう?
 私には、あの奇妙な言葉を口にしたインディアン女のほうが、本当はこの私たちの誰よりも、ずっとはるかに解放されて自由なのだ、という思いがつきまとって離れません。
 聖書にも、これに似た不思議な言葉があります。
 「人は、たとえ全世界を手に入れても、自分の魂(ゼーレ)を失ったら何の益があろうか」(マタイ伝16・26)
 何言ってる、魂がどうのこうのだって!
 そんなもの、我々はどこかの路上にとっくに置き忘れてきたよ。未来の世の中は徹底的に快適で、完全に本質不在の世界になってるさ。(昭和64年元旦 「朝日新聞」より。)

|

« さようなら、大関。 | トップページ | 星の王子さま。 »

つぶやき」カテゴリの記事

コメント

うはほぉ!待ってましたがねぇ・・
そっかそんな話もあったのね。

確かに、便利とかラクとかを追い求めてる現代の社会にコワ~さを感じてる。
それはどんどん生活に浸透して、自分でも知らないうちに、一番ラクで手っ取り早い方法を頭で考えたりしてるもんね。
でも、いかんよね、それじゃあ。

裕福で満ち足りた生活もそう。簡単に手に入らないものを追い求め、苦労して、努力して・・・
そういうプロセスが一番大切なのかもダ。

山ヤ先生、えらいね。
早池峰のボヤンティアしかり。
感心しておりますです。 あんがとね。

投稿: ロビン | 2005.06.02 22:35

>ロビンさん。
えらい、なんてことはないんですよ。ただ、自分でやってみたいだけです。
「極東ブログ」さんの難しいお話しもお読みになりましたか? 「リトル・トリー」は好きな本だったけれど、偽書だと指摘されて、ハッとしました。
私がブログに書き込んでいることも、全部嘘かもしれませんよ。・・・。だから私は、自分の足で見に行って、自分でやってみたいんです。それだけなんです。

投稿: 山ヤ | 2005.06.03 13:26

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/29037/4375222

この記事へのトラックバック一覧です: もう一つの「答え」。:

« さようなら、大関。 | トップページ | 星の王子さま。 »